私たち自身の手で新しい憲法をつくる
国会に憲法調査会が設置されてから、私は一貫して憲法調査会に籍をおいて発言をし、学習して参りました。
私自身の選挙区の東京三多摩地区はかつて自由民権運動の発祥地となった地域です。当時の自由民権運動の4つの柱は1.国会開設 2.憲法制定 3.不平等条約の撤廃 4.地租改組 が目的であった。明治憲法は当時伊藤博文などが何ヶ月もかけてドイツに渡り、ドイツ憲法に学び、日本の明治憲法を制定したものであった。
 現在の日本国の憲法が制定されたのは第二次世界大戦直後で、日本が敗戦国になり、まだ占領統治下にあった、1947年(昭和22年)である。この憲法草案はGHQ(連合軍総司令部)の作った草案を10日間という短期間で修正して作られたものであったという。対戦で敗戦したのは1945年であるので、それ以来60年を経過したので、憲法も還暦を迎えたことになる。現在の憲法が制定された当時の状況を明瞭に感じている国民は少なくなったが、現在の日本国憲法の策定はいまだ非常に言論統制の強い状況の下で行われた。それも短期間に作られたものであったとはいえ、それを現在まで全く変えないで守れたことは良くできた憲法の(部分も)あったと言えよう。
 どのような環境の下で制定されたにせよ、60年もの間、一言一句も変えることなく、しっかりと守り通してきた伝統と先人を重んじる日本は稀有の国である。日本と同じように敗戦国となったドイツは戦後作った国の憲法を50回以上も改正しているので、毎年に近い改正である。日本も改憲の世論が全く起こらなかったわけではない。それは1950年6月の朝鮮戦争の勃発の時を始め、1951年9月にサンフランシスコ講和条約締結により日本がアメリカの占領統治から開放されて日本が独立国家となった時、その後も1991年1月の湾岸戦争の発生時などの節目の時に大きな改憲の盛り上がりはあった。
 これらはいずれも主な論点は憲法9条の解釈の問題が争点であった。自分の国を自力で守ることは極めて重要であるという立場はみな同じである、しかし、日本国憲法は再軍備をしないことにしているので、戦争ではなく日本を守るためとして、警察予備隊から保安隊を経て、自衛隊と名称変更しながら問題を回避して、条文解釈で国際貢献の役割も果たしてきている。かつて、改憲論議はタブー視された時代もあったが、現在は真剣に検討しなければならない時代になった。それは日本国憲法が制定された終戦当時と現在では情勢が国内も世界も大きく変化してきている。かつてのように、世界は自由主義と共産主義の2極化した冷戦的構造ではなくなり、国連が取り仕切るようになってきたといってよい。日本が60年前に誓った「不戦の誓い」の精神は自国のみならず、世界平和の為に堅持することは必要である。しかし、その精神を生かしながらも、時代に合わなくなった点は改善する姿勢と度量は必要であろう。かつての社会党や共産党のように、護憲さえ唱えれば党の存在価値があった時代ではなくなったことだけは確かである。かつての社会党色から少し脱皮し始めてきた民主党も体制は改憲を容認する人達も多くなってきた。

自由民主党新憲法草案のポイント
@前文、 前文で自主憲法の制定をうたう
・象徴天皇制の維持
・国民主権、民主主義、自由主義基本的人権の尊重、平和主義、国際共同主義を継承。
・「国や社会を愛情を持って支える義務」を明記
 「自然との強制を将来に、自国のみならず、かけがえのない地球の環境を守るため力を尽くす。」と地球環境を加えた。
A安全保障
・9条1項は現行憲法と同じ
・(2項)「自衛軍」の保持を明記し、
・集団的自衛権の行使や国際協力で武力行使を容認
B国民の権利・義務、「国民の責務」の概念を明記(12条)
・個人情報を守る権利(19条)
・国の環境保全の責務(25条)
・犯罪被害者の権利(25条)
・知的財産権(29条)

憲法9条と集団的自衛権
 特に憲法9条については、世界が国連を中心に論議されるようになったことを考えると9条も現在の無理な解釈でなく、国連の統制の下で行う国際貢献には日本も応えることは必要になるであろう。
近年の世論調査にも憲法改定は賛成であるという割合は過半数を超えている。これは日本国民であると同時に世界の中の一員であるということが認識されるようになってきたことの現われであろう。しかし、これは今後本格的に、真剣な審議をしなければならない大きな問題である。
 改憲論議は、自分の家、向こう三軒両隣、町、県、国その先の世界にも通用するものにしなければならない時代になっている。それはお世話になっている向こう三軒両隣と自分の家のためだけのものでは世界は相手にはしない。現在の自衛隊の存在を認めており、自分さえよければ、日本さえよければ、という感覚では現在の世界は通用しなくなってきているのである。
 今まで大きな論点となってきたのは前文における日本人的な論調への改善がある。簡単なことでも送り仮名も多くの点で異なっている。しかし、現在の憲法で最も論点になっている点は第9条であり、その主な論点は戦争放棄は守るが、自衛隊を軍隊と名称を変えると同時に、自衛隊の任務をあくまでも自衛と国際貢献のために従事することに位置づけて認知する点にある。現在までは自国を守るという必要性のみによっていたので、少し無理な解釈をして自衛隊を認知してきたといってよい。しかし、任務と活動を制限して軍隊を正式に認めるように憲法を改正する点である。私達はこの60年間は日米安保条約の下に、経済発展を成し遂げてきたが、国際貢献や国防の大切さも痛感してきた。特に、イランへの自衛隊の派遣と北朝鮮のミサイル発射はその象徴である。これらのことも重なり、国民的な意識変化もあり、長年の懸案であった改憲の議論も本腰を入れて検討しなければならない環境は整ってきたといってよいであろう。
 私達は国内において、大災害時に自衛隊が貢献してくれて、活躍している様子はよく知っている。「もしも」の時、「いざ」という時に備えることの必要性を自衛隊の活動を見ながら感じている国民は多いはずである。
 日本国憲法は敗戦を機に作られた憲法ではあったが、一度も変えることもなく、よくも60年間にわたり、守り続けてきた。今日本は60年で敗戦国から世界の中の中心的とも言える国に成長している。現在の日本と世界、および今後の日本と世界を見据えて慎重の上にも慎重に、憲法の改正に取り組まなければならない大事な時期にさしかかっている。いくら改憲、ムードが高まったとはいえ、平和主義、民主主義および基本的人権の尊重の原則のもとで論議し、実行に移すのは当然のことであろう。